上司との付き合い方

Posted by ohkawa on 2009 年 10 月 7 日 under エトセトラ | Comments are off for this article

2009年10月6日

上司との付き合い方

まず相手を尊敬する、報告連絡相談をこまめにする、常に積極的に前向きに接するなどビジネスマンとして基本的な振る舞いであり、上司と接するときも当然必要な項目であることはみなさんももうご存じでしょう。ここでは、基本的にこれらのことをやっているが、なおかつ発生する上司とトラブルへの対処方法を考えてみました。

上司との付き合いは難しい

上司や社長との付き合い方は難しい。特に仕事に対して意欲的で向上心が強く、まじめで責任感がある、有能な方にとってはそう思える時が多いのではないでしょうか。

たとえば、ある顧客との取引に関して、初めて貴社と取引する顧客は今回だけは初回の取引なので商品の価格を半値ぐらいに下げるように要求しています。しかしそれはあなたの会社にとっては、赤字にはならないまでも利益が全くでません。あなたはこれまでの仕事の中で、あなたの会社の販売力の弱さを痛感しており、新商品であるこの商品を市場に広めていくことが大変困難であると思っています。一方、この取引先は業界のリーダの位置づけで社会的なステータスも高く、また、これまでの他社との関係をみても一度取引が成功すれば長い間安定的にまとまった取引が実現できることが想像されます。あなたはいくつかの資料を用意して上司にこのことを説明しました。しかしどうでしょう、あなたの上司は利益が出ない取引は絶対に受け入れられないと、稟議書にサインをしてくれません。あなたは思うはずです。この上司はなんで自分のいうことが理解できないのだろう。短期的でなく、長い目でみれば自分のいうことを理解できるはずなのに。

いやな上司

また、いやな上司というものも存在します。それぞれの好みにもよりますが、以下の4パターンは多くの方にとっていやな上司なのではないでしょうか。

・  考え方を変える上司

・  責任を転嫁する上司

・  権力を行使する上司

・  人格否定をする上司

考え方を変える上司は大変です。たとえば冒頭のような意見の相違が生じ、上司の判断に従って、顧客との取引をやめたとしましょう。ところが、会社の取締役会でその時の判断が間違っていたことが問題になると、当初取引をやめるようにいった上司は、自分は長期的な視点から取り引きするようにいったが、部下のあなたが取りやめるように云ったといいだしましたりします。どれだけその時の状況を詳しく説明しても自分が正しいと言い続けます。自分は最初からそう言い続けていたが、君が執拗に取りやめるようにいうから、取りやめたのだと。それもそうです、その上司は自分でも完全にそう思い込んでしまっているからです。しまいにその上司はあなたのことを、頑固で困った部下だ・・と取締役に報告したとのことです。

また、責任を転嫁する上司も困ります。たとえば営業確度が100%だと思っていた取引が思いもよらず失注してしまったときなどです。上司は経営会議で部下がヘマをやってしまってために受注できなかったと報告します。原因はともあれ、責任は上司がとるのが普通でしょう。このような上司のもとにいる部下たちは、みんな別な部署に移ったり、転職したりしてしまいそうです。

露骨に権力を行使する上司もたまらなく嫌なものです。お前は上司であるオレのいうことがきけないか・・・といわれる場合です。実力が伴っていれば、盲目的にいうことを聞いても仕事が成功するかもしれません。しかしそうでない場合は最悪です。まじめで仕事熱心な部下であるあなたは仕事の成功のために神経をすり減らし、さらにその上司の機嫌を損なわないためにさらに神経をすり減らさなければなりません。

人格面の非難をする上司は、ある意味生理的に受け入れられないものです。仕事で成果がでない、あるいは何か失敗をしたときには仕事についてしかるのは間違ったことではありません。しかしその人の人格まで否定してはいけません。深い信頼関係ができており、生死をさまよう場面を何度もくぐりぬけてきた戦友のような関係の場合、あるはその人への愛情や相手をしのぐ仕事への真剣さがあれば、ある程度は許されるでしょうが、基本的に人格否定をされると仕事への情熱は急速に失われていきます。

こういう上司を相手にすることは、仕事に対してより真剣に取り組もうとする場合、とても心理的なブレーキになります。まじめな人ほどより強く感じられるのではないでしょうか。

それなりの規模の会社で、実は高い収入を安定的に得る代わりのこれらの上司を相手にすることを仕事にしている人がいます。好き嫌いは問わず、人間関係のローカルルールなど対応方法の要領を得てしまえば、安定的な収入を得る手段としては、よりリスクをとって、正しい主張をするよりは、簡単な手段であるといえるのかもしれません。ただしそれはあきらめに似た感情でもあります。人生の大半を過ごす職場においてこのような後ろ向きの過ごし方は耐えられない方もいらっしゃるでしょう。

上司とあなたとの違い

上司とのトラブルがなぜ起こるのかを調べてみましょう。まず、上司とあなたは何が異なるのでしょうか。一言で言えば、会社での立場、立ち位置(視点)が異なるということになりますが、より詳細に考えてみましょう。

・ 上司とあなたは、ミッションが異なる。

・上司とあなたは、利害関係者が異なる。

・ 上司とあなたとでは、責任の範囲が異なる。

・上司とあなたとでは、仕事の内容が異なる。

・ 上司とあなたとでは、評価のされ方が異なる。

・ 上司とあなたとでは、給与が異なる。

・ 上司とあなたとでは、考え方の癖が異なる。

・上司とあなたとでは、これまで生きてきた背景が異なる。

・ 上司とあなたとでは、ものごとの好き嫌いが異なる。

・  上司とあなたとでは、得意なもの不得意なものが異なる。

・  上司とあなたとでは、人生の価値感が異なる。

このようなことが考えられます。

上司になぜ不満になるか?

あなたと、あなたの上司は人間である以上このような違いがあるのは当然のように思えます。しかし違いがあることはわかったとしても、あなたの上司に対する不満は解消されないかもしれません。なぜでしょう。その不満や怒りの原因は、あなた自身にあるのです。実はあなたは、無意識に上司に対して過度の期待をしています。会社の中であなたよりも高い立場の人は、あなたよりも仕事ができるのが当然だと思っているからです。給与が高い(はず)ですから当然といえば当然です。また、日ごろ身近に接しているために、あなたのことを他人よりも理解してくれやすいとも期待しています。これらのために、あなたの素晴らしい考えを理解してくれるはずだと期待してしまうのです。その期待を裏切られるから相手に不満を感じるのです。

しかし実際はあなたの上司はあなたよりも仕事ができるとは限らないのです。また上記のようにあなたとは全く別な人だから考え方や意見が異なるのは当然のことなのです。上司への不満や怒りをなくすには、まず上司への過度な期待をやめることが最初です。

上司への3つの対応方法

では、その上でどう対応すればよいのでしょうか。対応方法は大きく3つです。

とにかく言うことを聞いてみる。

・  分析、予測をして対応する。

・  反旗を翻し、戦う。

ひとつひとつ調べてみましょう。

とにかく言うことを聞いてみる。

まずはじめに、考えや判断の良し悪しや成否は別として、あなたの上司の言うことを聞いてみることです。ただし、これはイエスマンになれとか、媚び諂えといっているのではありません。あなたの気持は反対でも、割り切ってしかも手を抜くことなく全力でやってみるのです。その理由はいくつかあります。

・ あなたの上司も何らかの理由があって、あなたに指示を出しているのです。あなたの意見の方が正しいと知っていても、さらに上位のものからの理不尽な命令から従わざるをえないのかもしれません。このことを理解して上司のために取り組むことで、上司との信頼関係が生まれます。

・ その指示が失敗した場合でも、その責任はあなたの上司の方が強いです。あなたの失敗のリスクが軽いのだから、より職位の低いうちは上司の命令に従ってもその被害は小さい。

・  納得がいかない、論理的に正しくない、最善策ではないと思うことでも経験してみるのも悪いことではありません。しばらくの間は、上司の言うことに従って仕事をしてみるとよいでしょう。そのやり方で成功すればあなたは今まであなたが知らなかった新しい方法を学べたのであるし、それが失敗に終わっても、そこで得られた人間関係や、失敗経験などは後々あなたの成功につながるのです。

■分析し、予測して対応する。

上記のような理由から、上司のいうことを聞くことはまんざら悪いことではありません。しかし、この手が使えない場面があります。それは相手が社長で自分が担当役員などの場合で、上司の言うことを聞かなくてはならないが、責任は自分がとらなくてはならない場合です。この場合は上司の言うことを聞いてばかりもいれません。事業の成功、失敗のリスクをすべてとらざるをえないのです。このようなときはどうしたらよいでしょうか。基本はあなたの上司のことを理解し、あなたの上司の立場に立ち、対策を立てていくことになります。クリミナルマインドという海外ドラマをご存知でしょうか。FBIの行動分析課(Behavioral Analysis Unit、BAU)のメンバーたちが、連続殺人鬼の様々な情報から犯罪心理を読み解き、次の殺人を実行する前に先回りして、犯人を取り押さえるという話ですが、こんなイメージです。まず、はじめは分析的なアプローチを行います。先程あなたと上司の違いについて列記しましたが、これら一つ一つをあなたの上司について調査してみましょう。

・  あんたの上司には、どのようなミッションがあるか?

・  あなたの上司には、どのような利害関係者がいるのか?

・  あなたの上司は、どのような使命や責任を負っているか?

・  あなたの上司は、どのような仕事をしているか?

・  あなたの上司はさらに上の上司(あるいは経営者の場合は、株主など)から何によって評価されるのか?

・  あなたの上司の年収はいくらか?

・  あなたの上司の考え方の癖はなにか?(論理的に考える、直観的に考える・・・など)

・  あなたの上司はどのような生い立ちで、どのような学歴や職歴をもっているか?

・  あなたの上司は、どのような好き嫌いがあるか?

・  あなたの上司は、何が得意で何が苦手か?(コンプレックスがあるか?)

・  あなたの上司はなにを優先するか?(価値観はなにか?)

などです。これら要素を頭に叩き込んだ上で、なぜ自分の上司が自分と異なる意見をいうのかを想像してみましょう。冒頭の例では、たとえば、あなたの上司は事業部長で今期の事業の業績が悪く、計画比でも前年比でも売り上げ予算が達成できないため、経営者たちから毎週の経営会議で手ひどく攻撃されているのかもしれません。もしくは、上司の評価は単純に利益と連動しているため、短期的とは言え利益を出さない取引を嫌がっているのかもしれません。もしくは、来月昇進を控えた上司は、長期的な視点よりも、短期的な実績を求めているのかもしれません。このようにあなたの上司に関する様々な情報を知ることで、なぜあなたと上司とで考えが異なるのかを理解することができます。

これにより対策が立てられます。たとえば、この例でいくと、これらのどれかが原因だとしても、あなたの主張を通すことはかなり難しいでしょう。したがって、一時的にあなたの主張を曲げる必要があるかもしれません。まずは、上司が納得する利益がでる案件に注力し、一方で将来事業を担うあなたは、できれば同時並行で、この取引先との関係も継続しておく・・といったことになるでしょう。

このように上司のプロファイリングをし、対策が立てられるようになると、次は、あらかじめ予測をして行動することになります。たとえば、冒頭の上司に対しては分析を行った結果、上司は来月役員への昇進を控えていたため長期的な視点よりも、短期的な実績を求めているということがわかりました。しかもそのあとで事業の責任をとるのはあなたであるため、長期的な顧客も逃すわけにはいきません。このような状況を知っていたらあなたは冒頭のような説得をせず、当初から、短期的な案件とこの長期案件を合わせた形で上司の承認を得るなど、工夫をしたかもしれません。また前出のいやな上司についての対応法はどうでしょうか。

考え方を変える上司

正確には、考え方を変えたがそれを自覚していない上司です。こういう上司への対応はどうすればいいでしょうか。相手は自分が考えを変えたことも自覚していないため、議論を戦わせるのは無意味です。一番よいのは、相手が意見を変えていくことを想定して、相手がいうことに合わせて話を展開していき、相手が自分からその結論になったと思わせることです。

・  責任を転嫁する上司

このような上司を相手にする場合は、徹底的なリスク管理が必要になります。なにか失敗があれば自分の責任になってしまいます。失敗リスクを減らすための施策、万が一失敗した場合に備えた周りの利害関係者へのネゴシエーションなどが必要です。

・  権力を行使する上司

権力行使をする上司には、相手を尊敬しているようにふるまうのがよいでしょう。ある程度結論が見えている話でもその上司が決定したことになるように勧めます。わざと助言を求めることもよいでしょう。

・  人格面の非難あるいは人格否定をしてくる上司

これもつらいですね。対処法としては、こういった上司と話すときは自分の目的を達成することのみに注力して、相手の罵詈雑言は無視することです。長期的な自分の目標に意識を集中して、仕事の成功させることを第一と考えましょう。

■最終手段:反旗を翻し戦う。

上司の理不尽な振る舞いにどうしても耐えられない場合は、どうすればよいでしょうか。上司の理不尽さを追求するなど攻勢に出てみてもよいでしょう。ただしその判断をする前にいくつかの項目をチェックしましょう。

・  今回トラブルになっているテーマに対して、客観的に考えて自分のほうが正しいと自信を持って言える。

・  仕事については、技術面、人材の関係面など含めて、あらゆる面で、これから抗議する上司を凌駕している。

・  その部署で学ぶことはなくなったと思っている。

・  その上司やその部署との人間関係がこの先なくなってもよい。

・  社内でのポジションが悪くなったり、昇進のチャンスが遅れたり、なくなってもよい。

・  給与が減ったり、一時期に失業したりして収入がなくなってもよい。

これらの項目に対してイエスと言えるのであれば、堂々と自分の上司に抗議することは悪いことではありません。たとえ、そのことで一時的にポジションが悪くなっても、あるいは転職に追い込まれる場合があっても、あなたの将来のビジネス上の成長、収入面においても、プラスになる可能性が高いでしょう。それはあなたが、あなたは今回のトラブルに対して正しい判断をしており、仕事に対して上司よりも真剣で、あなた自身上司よりも優秀である可能性が高く、将来、あなたのまわりの誰かはあなたのそういう一面を認めてくれている可能性が高いからです。

ただし最終手段にでるためには、4つの注意点があります。

一つ目は、最終手段に出てよいかの確認のために、信頼できる人、特に冷静な判断ができる社外の人に相談してみるとよいでしょう。あなたはもうこの部署でやることはないか?あなたの考えに落ち度はないか?時期早々ではないかなど、情報を漏らす心配のない人の冷静な判断を聞いてみるとよいでしょう。

二つ目は、集団で抗議することはやめましょう。冒頭にあなたと上司の関係と同じことですが、基本的に人は少しずつでも性格や考え方、背景が異なるものです。したがって、足並みがそろわない場合もありますし、みんなの意見をまとめるのに時間がかかる場合もあります。また脱落者や裏切り者がでることも考えられます。昇給など仲間に迷惑がかかることもあります。これらを防ぐには自分一人で行動するのが一番よいのです。

三つ目は、必ずセーフティネットを用意しましょう。それは社内の有力者を味方につけておく、部署をさる必要が生じた場合の受け入れ先を用意しておく、エージェントへの登録をしておく、転職先のめどをつけておくなどです。

四つ目は、上司と戦った結果、部署や会社を去ったとしても、また同じようなトラブルが発生するということを忘れないことです。上司との出会いも、親や友人、恋人との出会いと一緒ですので、基本的にいろいろな部分が異なる人と人との出会いであり、幸運にもあなたと馬が合う人と出会わない限り、次の上司とも同じようなことを繰り返すことになるでしょう。

上司との戦いに臨むときは、一時的感情に任せて行動には移さず、きちんとした準備をして取り組むべきです。

以上、特にいやな上司との付き合い方を中心に述べてみました。上司との付き合い、そしてトラブルは自分が自分の資本で起業をしオーナ社長にでもならないかぎり、必ず付きまとう問題です。ある種のゲームをするようなつもりで、あまり深刻に考えず、ストレスなく対応していきたいものです。(以上)